――本日営業

本格ミステリとは何ぞや?


「DDΚ」 by K


「それでは、只今より、来月発行の会報に載せるnn君の短編の品評会を始めます」


「みなさん、すでに目を通したと思いますので、万が一そうでない場合にはどうなるかご理解いただいていると思いますけれど、

早速、私の意見を言わせていただこうと思いますが、その前にまず、これは推理小説、名探偵物のミステリだと思いますのでそう

いうことだと思ってよろしいでしょうか、nn君、みなさん?」
「はい」
「みなさん、肯かれたと思いますので、そういうことで話を進めていきたいと思います。私はnn君の作品を来月発行の会報に載せ

るのに抵抗はないと思っています。謎が提示され、それを実績のある探偵、名探偵が解決する、謎も単純で解決もシンプルなもの

だと思いますが、及第点だと思います」
「はい」「えっ!?」「単純!? シンプルですか……」「そんなに単純ではないと思います」「むしろ突飛なような……」
「えっ!? どういうこと?」
「そんなに単純でもないと思いますよ」「なぁ」「ええ」「ねぇ」
「は? ちょ、ちょっと待って、単純じゃない? これが!?」
「だって……」「なぁ」「ええ」「ねぇ」
「どうして? 殺人事件が起きて、名探偵が解決するだけでしょ。トリックだって月並みだし、キャラクタの性格も地の文も普通

でしょ」
「確かに、地の文は普通ですけど……」「キャラクタはおかしいでしょ」「ええ」「ねぇ」
「…………」
「トリックだって、こんなの思いついても誰もやりません」「論理展開もこれなら、まぁ」「ええ」「ねぇ」
「……どうやら、見解の相違が見られているようだと思いますので、登場人物、設定、謎、解決方法を整理してみようと思います




――――
―――
――



「…………」
「どうです?」
「……何ですか、これは?」
「何って、DDΚ、『ドゥームズデイ・カッパ』ですよ」
「題名などではなく、中身です」
「中身?」
「あなたはふざけているのですか?」
「ふざけてなんていませんよ。ふざける気にもなりません」
「では、何ですかこれは? 題名、登場人物、設定は全く同一、物語は同一であるはずなのに、同一でなければいけないのに、謎

も解決方法も全く別物ではありませんか。読者によって感じ方が違うというようなものでもなく、単純なミステリなのに本文がそ

れぞれ異なるとはどういうことですか? 理解できません」
「何ですか、理解できないって、言われても、『IF』の物語としか言いようがありません」
「『IF』?」
「はい」
「……そういうことですか」
「はい」
「…………」
「…………」
「ちょっと、こちらにいらしてください」
「はい」
「もう少し」
「はい」
「はい、そこで」
「はい」
「それではいきます」
「はい? あ、そうそうどうして僕のことを『nn君』と呼ぶのですか、会長?」
「は!?」
「だから、どうして僕のこ……会長?」
「あ、あんたがっ! そう呼べって言ったんでしょうがぁあーーー」
「ぅあ」「へぶっ」「い」「ちょ」「やめ」
「しかも、あなたは一人五役ですかっ!」
「か、かいちょ……」
「もう、知りませんっ!」
「う……」


(まったく……せっかく二人きりだというのに……)
(中身はともかく、題名、名前は……二人の日々ということになるのでしょうか……ふふっ)
(会長なんて呼ばれていますが、実質彼と私だけですし……ふふっ)
(それにしても、自分でやっておいてなんですが、大丈夫でしょうか、まあ明日になれば分かるでしょう)
(帰ったら、また読みましょう。「DDΚ」を)



もし、日記を本にするとしたら、題名は、『DDΚ』=『ドゥームズデイ・カッパ』=『DOOMSDAY KAPPA』=『DOMESDAY KAPPA』=『KAPPA DOME'S DAY(KAPPA DOME DAYS)』=『カッパドーム内部の日(々)』ということで。
最後に、ネタバレを書くの忘れてたので追加。