――本日営業

ということで、何か書こうかな。
とりあえず、三原則を守るか守らないか、から始まって(意識しないならしないほうが良かったのだけれど)いろいろ妄想は膨らむけれど、むむむ……。ショートショートだけれど、原稿用紙30枚以内だし、インパクトでもいいし、丁寧にも描けるんだよなぁ。
以下、こちらの続き。「ゼミ少女」、第二章開始。うわ、ちょうど一ヶ月だ。一ヶ月も空いてしまった……。


第2章 可視化への戦略

温度の場合、2種類の第1種境界(条件)が設定されており、系における温度はこの範囲において変動する。したがって、最も濃い青色(最小値)および最も濃い赤色(最大値)は、それぞれこの境界値を表している。




 立ち止まることを許さず、振り返ることを許す。少しでも前へ進むため。
 運命は変えられる。運命を定義するのであれば、それは真。変わった運命は、運命に内包されている。
 変わる、変わらない、所詮些事。繰り返すことは至極必至。
 それでも変わる。変わっても変わらなくても、変わるものは変わる。結局、それが全て。





 自分が率先して騒ぐことは苦手であり、騒がしい場所、例えばカラオケに行って自分は歌わず、みんなが歌うのを聞いているような状況であれば好きであるが、大勢の中にいればいるほど、一人になりたくなる。周囲から見られることもなく、誰一人として関心を持たれることもない状態だ。何で僕を見る、関わらないでくれ、と思ってしまう。決して自意識過剰などではなく、誰だって周りに見られていることを意識している、はずだ。現代人、特に田舎より都会の人は近所、周囲の人に無関心だと言うが、そんなことはあるはずがなく、すれ違うたびに相手を見る人、外見から中身を判断して陰口をたたく人、近所には良いニュースも悪いニュースも広まり、勝手に憶測する。これのどこが無関心といえるだろうか。人間に関心がなくなる、興味がなくなることはない。人間でなくなるからだ。みんな関心、興味はあるが、ただそれ以上に、直接関わらないだけで、だから僕は、マイペースな彼女に惹かれたのだろう。


「んー! ハイ、パッション!」
 対峙する僕になす術はとうになく、カウントダウンはとうに始まり、終局はとうに逃れられない。どうしてこうなったのかは考えるだけ無駄だ。
「んー? もう、終わりかにゃー!?」
 ああ、終わり。もう終わりだ。
「いいのかにゃー? いいのかにゃー?」
 ディスプレイは何も答えない。
「じゃあ、これで――」
 情けをかけることもない。
「お疲れ様にゃー!」


「ありがとうございます」
「ふぅん、君は、退くときには失礼しましたではなく退くときにも失礼します、と言うタイプなのね」
「はぁ」
「まあ、どうでもいいわ。どうだったかしら、ゼミは」
「大変でした」
「まあ、ね。初めてだし、大変なのは当たり前なのだから、慣れていくしかないわね」
「はい」
「とりあえず、私たちのゼミはこんな感じ。他のところはまた変わるからね」
「はぁ」
「さて、片付けも終わったようだし、行くわよ」
「どこへ、ですか?」
「どこへ、って、決まってるでしょ。打ち上げよっ!」


 日付が変わり、昨日、初めて体験したいくつかのことを思い返しながら一人家へ向かって歩く帰り道。気温は高く風は生暖かいものの、昼間や夕方よりは過ごしやすいことは確かで、火照っている体には気持ちいい。自分の足音に耳を傾け、等間隔に明滅する街灯をときどき気にしながら、歩を進める。
 空を見上げれば、十分な数の星。明日も晴れるのだろう。真空にある星の瞬きに、しばしの間、歩を止め身を委ねる。目を瞑れば僕の視点はあの星だ。星から生まれ星に還る。その繰り返しを重ねながら、目に見えない時間の海を漂う。流れ着く先は、いずれ訪れ、いつ訪れるとも知れない、始まりへの帰還。


 家へ着き、日課を済ませ、部屋に入り、パジャマに着替え、布団に入る。
 読書はなし。心地よい脱力感。すぐに眠れそうだ。
 遠く、サイレンが聞こえ、時計の針の音を催眠術のように感じながら、僕は眠りに落ちた。
 寝苦しい夜はまだ訪れない。
 夏休みまで一ヶ月を切った。


続く―――



また詳しい描写、説明を省いているので、適当に捕捉のようなものを。
ハイパッションのところは、追い詰められて殺される、対戦ゲーム(カウントダウンとしたらそう思われやすいかなと思ったけれど、ゼミには合わないので、と思ったけれどダウンでもいけなくもないか、うーん……よし、やはりダウンでいこう)でもなく、ゼミの終わりの方。しゃべっているのは人でも機械でもご自由に妄想を。ゼミの内容も含めていずれ明かすかもしれないし、明かさないかもしれません。
最後の一行で、まだ夏休みではないことになるので今年はゼミ少女とはまだ会っておらず、マイペースな彼女は、ゼミ少女かもしれないし、ここで出てきた彼女かもしれないし、両方を指しているかも。
極力個人名は出していかないつもりなので、こいつとあいつは同一人物だ、などとご自由に妄想してください。物語は破綻しないようにします。