――本日営業

……導入部分はそれなりに書け(誰でも書ける)、終わりも決まるのだけれど、肝心の中がどうも書けないのだが、これが差だな。
ということで、以下、「ワイルドアームズ ザ フィフスヴァンガード」よりファルガイア学園物語。シリーズキャラもその内出るかも……。ネタバレは、クリアした/ある程度やった人には、分かる/にやっとしていただけると思います。
本編のエンディングについて。ラスボスが第一形態のみというのはがっかりだがBGMがOP曲なのは良いし、その前のロボットゴーレム大戦は良かったし、最後までオヤジがかっこ良過ぎ(笑) 展開も突拍子でも理不尽でもなく、こうだろうな、こうなるしかないよなと予想していた通りに落ち着くところに落ち着いたから、プレイ後感(読後感のようなものだと思ってください)は好く、余韻を味わえる。
一番のデメリットは、イベントシーンでのボイスがあったりなかったり、声があっても勝手に進んだりしなかったりだと思う。オヤジ系には、物語における主人公を成長させるようなイベントなのだけれど、ほとんど声がついていたはず(笑) ロードの時間なんて、もっとひどいのを体験すればどうでもよくなります。
追加:他の大きなデメリットとして、パーティキャラは6人いるもののオリジナル能力が装備するミーディアムによって決まるので、キャラの特性があまりなく、使うキャラが僕の場合は、基本ディーン+レベッカアヴリル、ときどきキャロル、ということでチャックとグレッグはブラックマーケット用でありました(二週目以降はミーディアムに関わらず、全ての能力が使えるようになるので、この傾向はますます顕著になるかと)。後は、直接攻撃よりも魔法攻撃の方が断然強い、ということでしょうか。まあ、そのおかげで、雑魚敵との戦闘もおもしろいことは確か。
ディーンの出生が気になるように、考えれば目安はつくように描かれているけれどはっきりとは(勘違いかもしれないけれど)、というような明かされなかった部分は、来月発売予定のシナリオ本にでも描かれるのだろうか。


・登場人物設定(準公式)
 ディーン:学生(二回生、熱血、唐変木、鈍感)
 レベッカ:学生(二回生、ツンデレツン、特定の人物に暴力)
 アヴリル:女教師(2○歳、天然、氷の女王)
 キャロル:学生(新入生、ドジっ娘、ツッコミ、親バカの父を持つ)
 チャック:学生(二回生、副会長、空気読めず)
 グレッグ:学生(三回生、番長、大切な人を失う)
 その他:適当


ファルガイア学園物語』


プロローグ


――「お父さん、キャロルは旅立ちます」



 今日は、ファルガイア学園の入学式。
 朝から快晴、予報も快晴とまさに新たな門出に相応しく、優しく当たる日差しや風、香る緑が前途を祝福しているかのように感じながら、目の前に迫る新しい出会いに胸ばかりか頭を躍らせ、私は歩を進める。
――どーんなーときでーもーあなたはひーとりーじゃないよー♪
「はわっ!? 何です!? 何ですか!?」
 いきなり身近に、私の好きな曲が聞こえ、思わず周囲を憚らず声を上げて慌ててしまい、きょろきょろと頭と体を振り回すものの一向に音源が分からず、周囲の人も目を向け迷惑がるもののそのまま歩いていってしまう。
――〜♪〜♪♪〜♪〜♪〜♪♪〜
「はわ、はわわ……」
――〜♪〜♪〜♪〜♪♪〜♪♪〜
「はわわわ……」
――〜♪♪〜♪〜♪〜♪♪〜♪〜
「は……う、ううぅ……」
――〜♪♪〜♪♪〜♪〜♪〜♪♪〜〜
「う、うわぁ……」
 我慢できなくなって、泣き出しそうになる。ああ、私って相変わらず泣き虫……せっかく気持ちよく、新しい出会いに臨んで、新生活を楽しもうと思っていたのに……う、ううぅ……。
――〜♪♪〜♪〜♪〜♪♪〜♪♪〜〜
 私の心情なんて、むしろ自他共に認める外見も含めてろりろりしているのを面白がっていますよ、とでもいわんばかりに曲は響き続け、目の端に涙が溜まり、いよいよ堪らなくなってきたとき――



「はわぁ……」
 入学式を上の空で過ごし、これからの一年を過ごす教室に入ってからも私は窓際の席に着き、机の上に両手で頬づえしながら、どこを見るともなく窓の外にやや上向きに目を向け、ため息を零すばかり。
 新入生の、誰だって多少は心躍るはずの教室で私が醸し出す空気はやたらと異質なものの、クラス全体の自己紹介が済んでいない今は誰も私には声をかけようとせず、極力気にしないように自分の席の近くの人や以前からの知り合いと話をしているようだ。お調子者というか、周りに知らない人ばかりだからといって自分を抑えようとしない人も少なからずいるようだが、それでも――
「はわぁ……」
 クラスに、周囲に意識を戻してもすぐに焦点の合わない目になり、ため息を零す私をやはり気にしているようで、ため息を零すときには、私のため息が教室中に響いているような気になってしまうほど、タイミング良く音が消える。
「はわぁ……」
 多少、落ち着いてきて、周囲に目を向けること、客観的な視点を取り戻すことに支障を来たさなくなったものの、私の周りの空気は変わらないようで、自分がどう思われているかを考えることに対しても、ため息が零れる。
「はわぁ……」



「わたしはアヴリルです。アヴリル先生とよんでください」
 ドアを開けた瞬間に感じたであろう教室に伝播していた空気をものともせず、教壇に進んだ担任の先生――アヴリル先生――はそう自己紹介した。
「はわぁ……」
 同姓の私でも、まして年端のいかない私だからこそ思わず見蕩れてしまうほど、容姿端麗を体現したとはこのことか、とクラス中の誰もが見蕩れる、美人の女性だった。清水のように煌めく銀髪を頭の後ろで纏め、半分ノンフレームの眼鏡をかけ、シックなスーツを着こなした見た目からはいかにもやり手といった厳しい印象を相手に与えるものの、鈴を転がすような声、言動や物腰は柔らかく、そのギャップには……多くの男子生徒が、少なからず女学生も見受けるが、陥落しているようだ。
「おおぉ……」
「わあぁ……」
アヴリル先生……」
「こ、これが世に聞えるファルガイア学園の実態か……。く、敵わない。私なんか井の中の蛙どころか井の中の孑孑宇宙を知らずではないか……」
「お、お姉さまぁ……」(「ゆり!?」「ゆりゆり!?」)
「鞭が似あいそう……ふ、踏まれたい……」(「Mだ」「Mね」「M男」「あいつのあだ名はMだ」)
「年上の女性を従える……ふふっ……」(「S!?」「こっちはSね」)
 先行きに不安はあるものの、そんなものは当然のことであって、不安のない、予定調和自体には反論を持たないものの、予定調和の未来など私は望まず、どれだけの波乱に満ちているのか、新鮮な驚きを味わえるのか、とても楽しみで仕方がない、この一年、この学園での生活がこうして始まった。
 何より、彼と過ごせることに、期待に胸ばかりか頭も膨らむばかりであった。



――「うんめいの出逢い? いいえ、ひつぜんです。体が……」



 初めて貴方と出逢ってから、幾日の夜を過ごしたことでしょう。凍える寒さの中でさえ、貴方のことを考える、想うだけで私の体も心も暖かく蕩かされ、まるで貴方が傍にいて貴方の体温を感じているかのように安らぐことができるのです。
 貴方と過ごした学園生活は一年を終え、二年目、新たな一年が始まろうとしています。残念ながら貴方のクラス担任にはなれませんでしたが、触れ合える機会はいくらでもあることでしょう。貴方もそれを望んでいると嬉しいのですが。ふふっ。



――「ディーンは、アタシがいないとダメなんだからっ!」



 まったく、何やってるのよ、新学期早々からっ!


 朝のことを思い返しながら、放課後、私はいつも通りにディーンとの帰途についた。
 今朝の彼女はおそらく新入生だろう。前途洋々な新生活に心を驚かせているかのように歩いているかと思ったら、いきなり大きな着信音が鳴り出すし、朝から迷惑だっての。まあ、本人も何が何やら分からないみたい――実際そう――で、今どきの女学生なら持って当たり前かと思ったけれど、親にでも持たされた――ディーンによれば勝手に鞄の中に入れられていた――ようで、いきなり映像が流れたときには驚きを通り越して、思わず笑ってしまった。
 あ、あれが彼女のお父さん!?
 ちょっと自分の目が信じられなかった。今思い出しても笑ってしまう。濃すぎではないだろうか。あれが、親バカというものなのだろう。


 はぁ……。
 優しいというかお人好しというか困った人を放っておけないところはディーンの良いところであるのだけれど、たまにはアタシだけに優しく……いや、何言ってんだろアタシ……。
 でも、でも……アヴリル先生とも……生徒と教師なんて、ぜったいダメっ! 



――続く。



明らかにキャロルと他二人で量などに差がありますが(一番最後のレベッカなんて誰か分かりませんね。実はチャックとか、グレッグとかいう叙述テクニックなどはないので安心してください)、決してキャロルが優遇されているとかではなく(まともにしゃべってないし)、僕はアヴリルなのででもなくて、今後も適当です。
キャロルは、学力に当てはめるのであれば、頭が良いのです。