映画に合わせたのか、2年弱で文庫化。本谷有希子さんの作品を読むのはこれが初。ん? ダ・ヴィンチで読んだかな? 完結してるのはこれが初のはず。
適度にぼかしてあるので、場面を思い浮かべながら、各所を楽しめた。各登場人物の視点が、生い立ちを含めて、描かれているので、関係性を含めてわかりやすい。このあたりの構成は見事、と偉そうに……。こんな展開になるとは。
街子さんが、特に素晴らしい。新婚旅行の件は秀逸だなぁ。最後のところも、最初読み飛ばそうとしてしまったくらい、自然とこういう台詞が出るなんて。

「だって、澄伽さん、このお土産見た時『呪いなんて生きててもなんの価値もない、くず同然の人間がすることだ』って言ってたじゃないですか」

短い中に、インパクトがいくつもあってそれぞれで印象深いのだけれど、やはりもっと浸っていたかった。終わりも唐突な感じがするので、余韻もそれほど。でも、舞台を見たくなった。機会があれば、是が非でも。