――本日営業

“文学少女”と死にたがりの道化』、『“文学少女”と飢え渇く幽霊』に続く、シリーズ三作目。このシリーズは高校生活を送る主人公の視点と、他者の視点として手記の形で、古典作品を題材として、引用文を用いながら描かれている、はず。ストーリィの構成は、前二作も妙だが、この三作目がこれまた絶妙というか、一番合っている、しっくりきたと思う(一作目はまだこの構成に慣れていなかったかも知れず、三作目ともなるとそういう構成だとわかって読んでいるからかもしれないが。作者もすっかり自分のものにしたのかも、と上から目線だな)。
シリーズであるので、前二作を読んでいるとより良いが、この三作目だけでも読めるし、読む価値があると思う。この三作目だけでも、十分登場人物たちの関係、背景などは理解できるし、物語、話の展開が、内容自体は切実なものだけれど、読者に優しい。展開と読者の読むペースというか、頭の中が、どちらがどちらにというわけではなく、自然にマッチするように思う。読んでいて気になりだしたことに対するフォロー、ネタバレがちょうど良いときにあるように感じる。
この三作目は、登場人物にとって大きな転機を迎えたものになっているように、作者、読者にとってもそうなり得るものではないだろうか。
ここまで描かれてきたものは、過去から続く現在、そして現在の問題。今後はいよいよ、この三作目でも、終わりの方には触れられているように、未来への希望、不安が描かれていくのだろう。となると、何だろうね、参考図書は。
遠子先輩の「未来からの○○」なんて言葉は、今日の新聞にも「未来信じない時代」と書かれているような現代には、特に大きな意味を持つのではないだろうか。
相変わらず、イラストは完璧だ(笑)
もちろん、読了後には、参考図書に手が伸びた。今回は四冊で、最後の以外は、出版社は異なるけれどあった。