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- 『驚異の発明家の形見函 上・下』
「わたしが函を手に入れたのではなかった。函が私を手に入れた」
「まだ終わっていない人生をどうすれば充分に表現できるというんだい」
形見函というものに馴染みがなく、どんなものかと思っていたら、作者の意図――解説にもあるように細部まで作りこまれたことやら言葉遊びやら題やら――に気づいたときには、いっそう物語にのめり込んでしまった。社会の中での少年の成長、大人になっていく過程、師との再会以後まで、リアリティ(本当かどうかは別として)を損なうことなく、様々な知識やら事柄の奔流を、ただ読むだけでなく、楽しめ、少なくとも僕が望んだことのある在り方であることも好意的に働き、上巻の途中から(そこまでは電車内で)0時から8時と一気に読み、好奇心をもって、読み返してしまったことは言うまでもない。
「敬愛するみなさん、今晩の議論は『本質としての名前』であります。わたくしが概略を述べたいと存じますのは、すぐにおわかりになるように、その場かぎりの考えなどではありません。この命題はもっとも単純な言葉で申しますならば、われわれの名前はわれわれの行為および本質に関係を持つ、ということであります」
ということで、『絶望先生』、おもしろい。黒板ネタも、オレンジ(今月末から放送される、とのこと)やら(笑)。